ちょっといい話 2

*** バス停のイス ***

 

バス停にほったらかしの

雨ざらしのあの木のイス

今にもバラバラに

ほどけてしまいそうな

あのイス

 

バスを待つ人を座らせ

歩き疲れた老人を憩わせ

時にはじゃま物扱いされ

けっとばされ

毎日のように

学校帰りの子どもを楽しませる

 

支える

支える

崩れていく自分を

必死に支えながらも

人を支え続け

「それが私なんだもの」とつぶやく

 

そのイスに座り

そのつぶやきが聞こえた日は

どれだけ人を愛したかを

1日の終わり静かに考える

少しばかりの木のイスの余韻を

尻のあたりに感じながら

<愛>の形について考える

藤川 幸之助 氏 (詩人 児童文学作家)

H22年3月30日  新聞 掲載